中国西域紀行2

中国西域紀行(2)烏魯木斉
                中田 良一

【新疆ウイグル自治区の省都烏魯木斉は、現代シルクロードの玄関口。古来、遊牧民の天山北路の烏魯木斉は清朝によって拓かれ、19世紀末に新疆の中心になった。1990年新疆で、石油、天然ガスの本格的な採掘が始まった。毎年人口は10万人、経済成長は毎年10%の伸びを示した。】
カシュガルから飛行機で夜の移動、1時間50分で烏魯木斉に到着。小雨が降っていた。この地方で雨に遭遇する珍しいとのこと。ビジネスホテルを少し豪華にしたような機能的な部屋に泊まった。
 翌日、新疆を代表する烏魯木斉は近代的な建物が並んでいたが、そこには目もくれず、まず、スマホで知った市内の中心に古い町並みが残る場所があるという情報を頼りに訪ねてみたが、既に遅かった。町並み全体を取り壊している最中だった。替わりに道路を挟んで向かい側に近代的な工法で古い町並みが再現されていた。観光客が押し寄せていたが、興ざめだ。遠くから眺めるだけにした。取り壊し中の町並みに隣接する人民公園を散策しながら市内中心部へ戻り、昔から続く国際バザールを散策した。隣接する食堂で麺に牛肉と野菜の入ったあんがかかっている、スパゲッティのような昼食をとったこの牛肉麺も素晴らしく美味しかった。地元では知れ渡っている食堂らしい、沢山の人が、席を詰めて一緒に食事をしていた。
そこからタクシーに乗り、新疆ウイグル自治区博物館に入った。日本でも楼蘭の美人のミイラを展示し公開「数千年前の楼蘭の美女」と紹介され、東京国立博物館は長蛇の列だったがこちらでは展示されている部屋には人の姿はなし。乾燥した砂漠の気候が埋葬した時の姿をそのまま、見せくれている。美人か否かは分かりかねるが、静かな部屋でジックリ見学していたところ、突然部屋が真っ暗になった。一瞬何かまずいことをしてしまったのだろうか?という思いにとらわれ、急いで出口に向かった。するとそこでは係の職員が長閑な笑顔を見せている。閉館時間、部屋のスイッチを切ったのだ。それだけのことだった。部屋の灯りを消す前に館内放送ぐらいあっても良いのでは、出来れば館内を確認して欲しいと思ったが、参観者より、ここで働く職員の都合が優先しているようだ